ゲーム機器・携帯電話・コンピューターと子ども
わが国では、現在、各種のゲーム機器が開発され、多くの子どもたちが利用する状況となっている。このゲーム機器の利用が子どもに与える影響について、私の孫達(小学2年生男子と小学6年生男子)とゲーム機とのかかわりを通して感じた事や、それにより考えさせられた事などを以下に述べたいと思う。
ゲームの中には仮想空間で殴り合いをするものがある。これは相手を殴ったとき、どの程度の痛さを与え、ダメージを与えるか理解せず、単に相手を倒すことのみを目的とするので、人間的なつながりを学び、社会に参入して行く途上にある子どもにとっては、きわめて不適切であると思われる。
また、自動車のレースのゲームでは、階段状の道路などの非現実的な環境(現実の世界において車の走行が不可能な地形)が設定されており、車の運転上問題もあり(実際の車の運転経験がない子どもにとっては、車の運転の本質を見誤らせる危険性をはらんでいる。)、ゲームが走って勝つことのみを目的としており、運転技術向上などには不適切なものといえよう。
子どもへの影響を考えるときに、その問題の中核となっているのは、子どもの生活時間サイクルに占める割合である。多くの時間をゲームに費やす子どもには習慣性や依存性が見られ、それにより勉強に割く時間が少なくなり、同時に勉強への意欲の減退が見られる。 “時間管理”という概念を身に着けていない子どもたち(小中学生)にとって、ゲームに利用する時間を自己管理するのは不可能と考えられる。問題は、多くの親が成熟した大人と発達過程にある子どもの状況の違いに無頓着なことである。
また携帯電話やコンピューターによるインターネットサービスを子どもが利用するのが適切かどうかということも大人が真剣に考えなければならない問題と考えられる。特に携帯電話を幼児が使うことは、その脳機能の発達に対する影響が第一に考慮されるべきことであろう。この点はコンピューター利用においても同様の問題を含んでいると考えられる。この実証例の一つとして、赤ちゃんのはじめての言葉の習得の指導における差の実験、同一人物によるコンピューター映像によるものより、実際の人の指導の方が効果的であることがわかっていることがあげられる。
そして、イギリス・フランス等では、携帯電話利用を子どもの健康への影響を考慮して控えるべきであると考えられている。英国政府は、16歳以下の子どもの携帯電話の使用は、健康上回避すべきであることを推奨している。また英国NPOは、12歳以下は携帯電話を持つべきでないと言っている。 同様のことはフランスその他の国の政府も指摘している。
現在の日本では、映像や情報機器などの子どもの発達に与える影響をほとんど考えずにユーザーに売れることのみを考えて、ゲーム機器やゲームの開発を進めていると考えられる。それらの機器のユーザーである子どもはそれを利用することが将来の自分にどのような影響があるのかを考えることなく、面白く、楽しく遊べればよいという意識で利用していると考えられる。
人間の一生は決して繰り返すことはできないものなので、もし、これらの機器の悪影響がある場合、取り返しのつかない事態となる可能性がある。したがって、大人はその影響を的確に予測し、わずかでも悪影響の存在の可能性が認められる場合には、それら機器の子どもの利用を制限することを考えるべきであろう。これが次世代の育成を任されている我々大人の社会的責務であると考えられる。
映像の子どもの発達への影響といえば、テレビ番組の内容の幼児、小・中学生の子どもの精神活動への影響に関する実証的検討も行われるべきで、不適切な番組の規制が考えられる必要がある。テレビ番組は公共財である電波を活用して行われているものなので、当然社会的に有意義なものでなければならない。民放TV局の番組の中には、単なる時間の浪費と考えられる番組がいくつか見られるが、番組制作者に社会的公器を用いて自分達の作っているものの社会的意義を考える倫理観の堅持を要望したいものである。
テレビ番組制作にかかわる人々は、視聴率の高低に関心を払う前に、自分の作っているものを自分の家族や子どもや孫達に見せたいものに限ることを最低限の条件と考えるべきであろう。
※なお、本文中の子どもの発達過程(時間と空間についての子どもの概念形成)に関する情報は、娘・河上文により提供されたものである。
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